キュビット・ファーマシューティカルズ、創薬プロセスを5倍に加速 | エクイニクス導入事例 customer story
5倍
アイデアから検証までの時間の高速化率83%
ターゲット・トゥ・ヒット期間の短縮率75%
研究コスト全体の削減率ハイパースケーラ並みのコストを伴わない量子レベルのシミュレーション
キュビット・ファーマシューティカルズは、量子レベルで分子をシミュレーションすることで画期的な医薬品を設計しており、そのためには数百万回ものGPUを駆使した計算が必要となります。そうした要求に対して予測可能なコストと安定したパフォーマンスを実現するために、キュビットはアクシアンズおよびエクイニクスと提携し、キャリアニュートラルなパリのデータセンター内に、192基のGPUを搭載した専用クラスタを導入しました。
キュビットは、実験室での試行錯誤的な試験によって創薬候補をスクリーニングするのではなく、自社のAtlasプラットフォーム上で量子レベルの精度で並列シミュレーションを実行し、デジタル手法を用いて候補分子を特定して最適化しています。キュビットは、1つの主要プログラムにおいて、従来の創薬手法と比較してターゲット・トゥ・ヒット期間を83%短縮することに成功し、設計された化合物のうち実際に物理的な合成が必要となったのはわずか6%にとどまりました。
自然の複雑さを解き明かす使命
キュビット・ファーマシューティカルズは、分子創薬のパイオニアです。同社の主力技術であるAtlasは、従来の化学実験室での作業をデジタル上で再現し、その効率化を図るために構築された、クラウドネイティブな科学計算プラットフォームです。「私たちの使命は、現在、既存の治療法では治癒不能と考えられている疾患に対して、画期的な治療法となり得る新しい分子を発見することです」とキュビットの製品およびIT担当最高責任者であるRomain Delassus氏は述べています。
その使命の中心にあるのは、一見単純そうな課題、すなわち、候補分子が体内の標的や人体全体とどのように相互作用するかを予測することです。「Atlasはシミュレーションプラットフォームです」とDelassus氏は説明します。「これを使えば、化学実験を設計し、実験の各段階の計画案を作成することができ、それ以降は、Atlasがその背後にあるすべての計算を調整して実行してくれます」キュビットのRNAプラットフォーム責任者兼創薬プログラムリーダーであるKrystel El Hage氏は、疾患の原因となる標的と高い親和性で結合できる低分子化合物を設計するために、毎日Atlasを利用しています。「シミュレーション、データ、AIなど、すべてを結びつけているのが、このインターフェースなのです」と彼女は述べています。
自然は静的ではなく動的であるため、キュビットは分子の1つのスナップショットだけに頼ることはできません。「私たちは、いわゆる分子動力学、つまり分子とその標的の間で起きていることを映し出した一種の映像のようなものを分析する必要があります。それらの映像には、十分な情報を提供するために数百万フレームが必要で、各フレームには量子レベルの計算が必要になります」とDelassus氏は述べています。
クラウドが追いつかなかったとき
「GPUによる計算処理はハイパースケーラでも利用できますが、コストが非常に高く、ハイパースケーラは常に新しい技術を導入し続けています。特定のハードウェアでアルゴリズムを最適化して、その性能を最大限に引き出したいと考えていました」とDelassus氏は述べています。
エクイニクスは、大規模な量子AI計算をサポートするために必要なハイパフォーマンスコンピューティング環境を提供しています。
Romain Delassus氏 キュビット・ファーマシューティカルズ、製品およびIT担当最高責任者
信頼性の低いインフラストラクチャがもたらす見えない負担
キュビットの科学者にとって、クラウドインフラストラクチャにおけるネットワークパフォーマンスの不安定さがもたらすコストは、スプレッドシート上ではなく、勢いの失速という形で現れました。「インフラストラクチャの主な問題は、ハードウェアの故障や、単なる接続の問題だけでシミュレーションが途中で中断されてしまうことでした」とEl Hage氏は指摘しました。「シミュレーションが予定された終了時刻の2ナノ秒前に終了してしまうことがありますが、それだけでもすでに5日間かかっているのです」その勢いの喪失は、実質的な金銭的損失をもたらしました。キュビットは、シミュレーションで同定された化合物の合成を外部パートナーと共同で行っているため、シミュレーションが停止すると、パートナーは何もできなくなってしまう可能性があります。
専用の接続されたコンピューティング環境の構築
この問題を根本的に解決するために、キュビットはアクシアンズおよびエクイニクスとエンドツーエンドのパートナーシップを構築しました。キュビットは、変動するハイパースケール容量をレンタルするのではなく、パリ近郊にある、安全でキャリアニュートラルなエクイニクスデータセンター内に、自社専用の192-GPUクラスタを導入しました。同様に重要なのは、そのクラスタがキュビットのその他の技術スタックとどのように連携しているかという点です。Atlas自体はAWS上のクラウド環境で稼働しており、一方、最も負荷の高いシミュレーションワークロードはエクイニクスの専用インフラストラクチャ上で実行されています。これら2つの環境は、パブリックインターネットではなく、プライベート接続によって結びつけられています。
キュビットにとって最も重要なのは、データの所有権とセキュリティです。エクイニクスは、私たちに最高レベルの主権を提供してくれます。
Romain Delassus氏 キュビット・ファーマシューティカルズ、製品およびIT担当最高責任者
より迅速で信頼性の高い創薬
Delassus氏によると、エクイニクスクラスタの導入以来、キュビットはアイデアから検証済みの結果に至るまでの時間を5分の1に短縮できました。この変化は、個々の創薬プログラムの成果に最も具体的に表れています。
「業界標準と比較して、ターゲット・トゥ・ヒットの加速率は83%、ヒット・トゥ・リード(ヒット化合物からリード化合物を創出するまで)の加速率は66%を達成できました」とEl Hage氏は付け加えました。「また、このプログラムのコストも75%削減できました」
エクイニクスとのパートナーシップにより、キュビットが産業レベルで運用できるコンピューティングエコシステムが提供されています。
Andrea De Souza氏 キュビット・ファーマシューティカルズ、最高企業開発責任者
パートナーシップと成長の基盤
インフラストラクチャに関する決定は、個々の研究プログラムの枠をはるかに超えて影響を及ぼします。キュビットの最高企業開発責任者であるAndrea De Souza氏は、以前イーライリリーでグローバルHPC事業を担当していた経験から、産業規模の創薬に求められる規模と信頼性を熟知しています。そうした経験から、De Souza氏は、エクイニクスとのパートナーシップも同等の水準を満たしていると見ています。「エクイニクスとのパートナーシップにより、キュビットが産業レベルで動作運用できるコンピューティングエコシステムが提供されています」と彼女は述べています。
De Souza氏にとって、このパートナーシップには技術的な側面だけでなく、戦略的な側面もあります。インフラストラクチャに関するリスクがほぼ排除されたことで、キュビットのチームは、同社のビジネス上の差別化要因に注力できるようになりました。
量子時代の到来に向けた準備
キュビットの目標は、現在のGPUクラスタの枠を超えています。同社はすでに、Hyperionという製品を通じて、量子ネイティブなハードウェアが商用化され次第、その上で動作するようソフトウェアスタックの準備を進めています。
「5年後には、本格的な量子ハードウェアが登場するでしょう」とDelassus氏は述べています。「エクイニクスとの取り組みと同様、キュビットの化学者に最も正確な結果を提供するには、最高のハードウェアが必要なので、すでにアルゴリズムを量子ネイティブなハードウェアに移植する準備を進めています。私たちのような企業がそのハードウェアを導入できるようになり次第、クラスタを拡張し、エクイニクスデータセンター内でそれをホストする予定です」
メリット
予測可能で使用率の高いコンピューティング
キュビットの専用192-GPUクラスタは、並外れた処理能力で稼働しています。昨年、同社は160万GPU時間のシミュレーションを実施し、平均して約170台のGPUが24時間体制で連続稼働していました。
クラウドへの直接かつプライベートな接続
キュビットのエクイニクスがホストするクラスタとAWS環境をプライベート接続することで、Atlasのクラウドの柔軟性を維持しながら、負荷の最も高いワークロードに対して、専用かつ予測可能なパフォーマンスを提供しています。
主権型の自己運用型インフラストラクチャ
このクラスタは、フランスのデータセンター内に設置されたキュビット独自のハードウェアであるため、同社は顧客に対し、データの完全な所有権、現地の法規制への準拠、および知的財産のセキュリティを保証できます。